VARIS PROJECT – SUPER耐久
市販車にもっとも近いS耐で、空力と機能の両立を極める
1998年、トムススピリットレーシングチームから参戦していたST205 CELICA GT-FOURにエアロパーツの供給を開始。そして2015年現在に至るまで、VARISではさまざまなマシンにエアロパーツを供給し続けてまいりました。
スーパー耐久(以下:S耐)とは、市販車をベースにファインチューニングされたマシンで争う耐久レースです。エンジンは基本ノーマル+α、サスペンションは市販車と同形状が条件、エアロパーツの装着は求められるが、一般に市販された車検対応品がレギュレーションとして定められている。なお市販車と大きく異なる点は、安全確保のためのロールケージ装着やボディの軽量化、そして装着されるタイヤがスリックということくらいだろう。
VARISは1998年よりトムススピリットレーシングチームにST205 CELICA GT-4にエアロパーツの供給を開始。当時現在のST-2クラスではLANCER EVOLUTION勢が良い結果を残しており、CELICA GT-4は苦戦している状態でした。VARISエアロパーツを装着し、クーリングやダウンフォース効果を上げたCELICA GT-4は仙台ハイランドでP.Pを獲 得。美祢ではクラス優勝と結果を残しました。
2000年からはトムススピリットレーシングチームが2台体制でN+クラス(後にST-5)ALTEZZAで参戦し、VARISもエアロパーツを供給しました。改造範囲が広く設定され車の動きもフォーミュラーカーに近い動きでした。この2台には現在国内外で活躍するレーシングドライバーもドライブし、F1でも活躍中の小林可夢偉選手や中嶋一貴選手らもスポット参戦しました。
2005年よりST-2クラスにて、スーパー耐久創立時より参戦しているRSオガワレーシングチームにLANCER EVOLUTIONのエアロパーツを供給開始。2009年にはエアロパーツの開発 TESTも同チームと積極的に行い、2010年にはST-2クラスにて念願のシリーズタイトルを獲得しました。
そしてスーパー耐久レースでもっともPOINTとなるのが、レースによって走行距離が大きく異なる点だろう。長丁場のレースで有名なのが、十勝24時間耐久レースだったが、現在(2015年)では富士スピードウェイで開催される真夏の8時間が最長レースとなっている。いかに速さを維持しつつ壊れないマシンに仕上げるか? また燃費などのレース戦略も重要なファクターとなってくる。
一方、ラウンドによっては3時間というスプリントレースもある。微妙な距離(時間)なので、スタートから何も考えずがむしゃらに全開では行けない。さらにS耐は、GT3マシンと1000ccマシンが同じ舞台で戦うのも忘れてはならない。いかに速いマシンにキレイに抜かれるか? いかに遅いマシンをスムーズにパスするか? この駆け引きも順位に大きく影響してくる。クルマはもちろん、ドライバーにとっても過酷なレースと言えるだろう。
そんな理由から、S耐マシンに求められるエアロパーツには、空力性能はもちろんのこと、冷却性能や耐久性の確保が必須となってくる。どんなに空力に優れたフロントバンパーだったとしても、たった数周走っただけで水温や油温が上昇してしまうエアロでは話しにならない……。
それに付け加え、200km/hオーバーでの走行風や振動などでエアロパーツが破損することがあってはならない。耐久性を重視しつついかに軽く仕上げられるか? この相反するテーマをどこでバランスさせるかが難しい。
またスーパー耐久マシンに装着されるエアロは、すべて一般に市販されている車検対応品でなくてはならない。ここもS耐エアロならではと言える点だろう。スーパーGTマシンのように機能を重視したデザインにしたいが、市販車ベースなので同じようにデザインするのは不可能に近い。そのエアロを市販化させ、さらに車検対応にしなくてはならないからだ。さらにその見た目がカッコよくなければならない……。これがS耐エアロでもっとも頭を悩ませる部分だ。
このS耐レースで発生した課題を丁寧にクリアしアップデートを繰り返す。その最終バージョンが、皆さんの愛車に装着されている市販モデルだ。ぜひ安心してスポーツ走行を楽しんで頂きたい。